大人の矯正について
-
当院では、さまざまな治療装置や方法の中から、患者様一人ひとりに合った治療法をご提案いたします。
特に抜歯・非抜歯の選択や口元・お顔立ちに関する美的感覚については、詳しくお話を伺ったうえで治療法を提示し、患者様のご意思を最大限に尊重した治療を行ってまいります。
治療後のメンテナンス、歯のホームホワイトニング(漂白処置)についてもご相談をお受けいたしますので、お気軽にご相談ください。
一般的な矯正歯科治療の期間は、2年から3年程度ですが、個人差や治療の難易度によって前後することがあります。また、矯正歯科治療後には後戻り防止のため、必ず保定期間が必要となります。 -
大人になった今こそ矯正治療を
「子どもの時に矯正治療を受けたかったけど、親が許可しなかった」、「子どもの時には必要を感じなかったが大人になって矯正をしたいと思うようになった」という方は非常に多くいらっしゃいます。 歯並びを改善することはむし歯や歯周病の予防になりますし、周囲からの印象が良くなるうえに、自己肯定感を高めることもできます。また、矯正治療に取り組むこと自体をきっかけとして、「趣味や仕事、人間関係などにポジティブに向き合うことができるようになった」という方も非常に多く存在します。 矯正治療に興味があるという方は健康面でのメリットも踏まえて、まずはお気軽にご相談いただければと思います。
また、8020運動はご存知でしょうか。80歳で20本以上の歯を残そうという取り組みですが、これを達成された方の約2/3は正常咬合、約1/3は軽度な出っ歯の方で、受け口や開咬の噛み合わせの人はほとんどいませんでした。つまり、歯ならび、噛み合わせは、歯の寿命に大きな影響を与えるのです。
矯正治療によって
期待できること
-
食べ物が噛みやすくなる
歯並びが整うと噛み切ったり歯ですりつぶしたりする動作がしやすくなります。また、奥歯や前歯など、特定の歯に過剰にかかる負担を軽減できます。
-
むし歯や歯周病などを
予防できる矯正治療をすると歯並びが良くなって食べ物が詰まりにくくなりますし、ブラッシングがしやすくなります。そのため、むし歯や歯周病の予防にもなります。
-
発音がはっきりとする
歯が生え変わる時期の子どもの言葉が聞き取りにくいのと同様に、歯並びが悪いと、歯間から空気が漏れるなどして正しい発音をすることが難しい場合があります。
-
心理的な負担が減る
人間は会話するとき口もとにも着目する習性があるので、歯並びにも目が行ってしまいます。そのため、歯並びの悪さがコンプレックスとなって、会話や笑顔が控えめになっている人は少なくないでしょう。そんな悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
矯正が必要な不正咬合
一般的に「歯並びが悪い」と言う状態を、歯科医療では「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼びます。不正咬合にもさまざまな種類があるので以下に紹介します。
-
叢生(乱杭歯)
歯並びの乱れに規則性が無く、一本ごとにさまざまな方向に傾斜や前後している状態です。顎の幅が狭いことで、永久歯が規則的に整列できるスペースが無かった場合は叢生になりがちで、日本人に多いことも知られています。いわゆる八重歯も叢生の一種です。
-
上顎前突(出っ歯)
顎の骨が前後にずれている場合や、上の前歯が前側に突出したり、角度がついたりしている状態です。日本人の場合、上の前歯が前側に突出しているケースが多い傾向があります。
-
下顎前突・反対咬合
下の前歯が前に出ているか、下顎自体が前に出ている噛み合わせです。上の前歯の方がわずかに前に出ているのが一般的ですから、それに対する状態として「反対」咬合とも言われます。
-
開咬
奥歯を噛み合わせたときに、前歯の上下方向にすき間ができる噛み合わせです。「オープンバイト」と呼ばれることもあります。
-
過蓋咬合
上の前歯が下の前歯に覆いかぶさっている状態です。顎関節症を起こしやすいですし、上下それぞれの歯の先端で歯肉を傷つけやすいデメリットもあります。
-
交叉咬合
奥歯を噛み合わせると、上の前歯が下の前歯を軽く覆うのが一般的な噛み合わせですが、交叉咬合では部分的に歯が前後にクロスしています。
-
空隙歯列
歯と歯の間隔が広い噛み合わせです。幼少期であれば歯が小さいですから歯と歯の間隔が広いことは多いですが、成長後にもすき間が気になるようであれば治療をおすすめします。
-
正中離開
「正中」とは一番前の歯のことを指します。正中離開はその名のとおり一番前の歯の間にすき間ができてしまっている状態のことです。
-
上下顎前突症
上下の両方の歯が前に突出する方向に傾いている状態を指します。口を閉じにくいので常に口腔内が乾きやすい特徴があります。唾液には殺菌効果があるのでむし歯や歯周病、風邪を予防する効果がありますが、上下顎前突症では唾液が乾くのでさまざまなリスクが高まります。
大人の矯正の注意点
-
むし歯のリスクを高める糖分摂取
糖分の過剰な摂取やお口の中に長く糖分が残るようなダラダラ食べはむし歯のリスクを高めます。矯正治療中は特にご注意ください。
-
歯が動きにくくなる喫煙
喫煙は歯ぐきの血流を少なくしてしまうため、歯周病の増悪要因になるだけでなく、歯の移動スピードも遅くします。また、ワイヤーや装置にタールが付着すると矯正装置の正常な機能を妨げることとなりますので、矯正治療中は必ず禁煙してください。
当院で扱っている矯正装置
-
セルフライゲーションブラケット装置(デイモンシステム)
摩擦を小さくし、超弾性ワイヤー、ハイテクエッジワイズワイヤー®などとの組み合わせにより、より弱い力で歯を動かすコンセプトの矯正システムです。
ブラケットだけではなく、ワイヤーとの組み合わせでシステム化されているのがデイモンシステムの特徴です。
金属色のデイモンQ2ブラケットと乳白色のデイモンクリア2ブラケットを選択していただくことができます。 -
セルフライゲーションブラケット装置(デイモンシステム)のメリット・デメリット
-
Meritメリット
- 装着して初めてのワイヤー(イニシャルワイヤー)でも、弱い力で痛みが少ない(痛みが全くないわけではありません)
- 通院頻度を減らすことができる場合が多く、また治療期間も比較的短いことが多い
- 結紮線など尖った部分が無く唇や頬に触れる部分がやさしい
- 歯を抜かずに治療できるケースも多い
- 歯を支える歯ぐきや骨にとって、負担が少ない
※従来型のマルチブラケット装置と比較した場合です
-
Demeritデメリット
- 金属の部分があるのでやや目立ってしまう
-
-
リンガルブラケット矯正装置
歯の裏側に装置を接着して矯正治療を行うリンガルブラケット装置です。
歯の前側に矯正装置をつける方法に比べると、会話時の違和感が少ないメリットを持っています。また当院が採用しているリンガルブラケットは製造時の精度が高いことで、矯正治療をスムーズに行える特徴もあります。
また、歯の裏側に装着するリンガルブラケットを使用すると、装置が唾液でうるおうことでむし歯を抑制しやすいメリットがあります。ただし、不潔になると歯の表側の装置と同様に歯肉炎は生じるので、セルフケアを行う上での注意点は丁寧に説明いたします。 -
リンガルブラケット矯正装置のメリット・デメリット
-
Meritメリット
- 歯の表側の矯正装置と比較して矯正装置をつけていることがわかりにくい
- マウスピース型装置と比較していちいち取り外しを行わないでいい
- マウスピース型装置と比較して前歯の変化が治療の初期から起こる
-
Demeritデメリット
- やや発音がしづらくなるケースがある
- 歯の磨き方に慣れるまで時間がかかる
- 表側の矯正装置と比較して、歯のねじれや重なり合いを解くのに時間がかかる
- 装置の製作費用が高い
- 装置の取り扱いに高度な技術を要する
-
-
マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置
クリアなマウスピースで歯の移動を行うマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置です。
目立ちにくい矯正
詳しくは以下のページ をご覧ください。
矯正治療を受けられる
患者様へのご注意
- 矯正治療は歯に力をかけることで、骨や筋肉に少しずつ影響を与えて歯列を整えていく治療なので、ある程度の期間を必要とします。
- 固定式の矯正装置を装着するとむし歯や歯周病のリスクが上がるので、セルフケアの指導を丁寧に行っています。
- 脱着可能な矯正装置を使用する場合、装着時間を守らなければ治療にかかる期間が延びます。
- むし歯や歯周病がある場合、治療を優先することがあります。
- 小児期の矯正なら成長を利用して永久歯が整列する空間を作ることができます。しかし成人の場合そうはいかないので、抜歯やその他の外科的治療を伴うことがあります。
外科手術が
必要になる場合のご注意
噛み合わせのずれが大きい場合や骨の形状・位置に関連して歯列の乱れがある場合には、一般的な矯正治療では対応が困難な場合があります。症例によっては、外科的治療の必要を指摘されるかもしれません。
当院は顎口腔機能診断施設の指定を受けていないので、外科矯正の取り扱いはありません。そのため、必要がある場合は、和歌山県矯正歯科医会内で施設基準を取得している医院に紹介いたします。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスク・副作用
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等が出てきますが、数日から1、2週間で慣れる事が多いです。
- 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する場合がございます。
- 装置や顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者様の協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨く、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことで歯根が吸収して短くなったり、歯ぐきがやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことにより神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出る場合があります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出る場合があります。
- 治療を進めていく上で、様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性がございます。
- 歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行ったりする可能性がございます。
- 矯正装置を誤飲する可能性がございます。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物の一部が破損する可能性がございます。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通りに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の噛み合わせに合った状態のかぶせ物やむし歯治療などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育により噛み合わせや歯ならびが変化する可能性がございます。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性がございます。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせると噛み合わせや歯ならびが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療を一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。